おもとってどんな植物?? 

 オモト(Rohdea Japonica Roth) はユリ科の多年性植物で、原種は山陰から九州地方の低山地に自生し、お正月の生け花の素材として用いられます。現在はゲノム解析による分類法(APG植物分類体系)が進んでおり、スズラン科になっていますが、分類学自体の方法論が進行中ですのでとりあえずユリ科としておきます。Wikipedia情報は  https://ja.wikipedia.org/wiki/スズラン亜科  を参照。
 園芸種として栽培されているものは、自然変異株や実生交配で育種されたもので、品種数は公益社団法人おもと協会(NOA)に登録されているもので約500種、各地の実生家や趣味者が育成中のものは数百種を越えると思われます。
 徳川家康が江戸城入城の折りに持参し、その後300年の基礎を築いたことから、おめでたい植物として関東地方では「引っ越しおもと」としての習慣が見られます。
 現代では「伝統園芸植物」として、春蘭、富貴蘭などと共にマニア的な愛好者が多く、各地に愛好会があります。会では栽培技術の向上、会員間の親睦、情報交換、そして一般 への普及活動などを行っています。
 オモトは観葉植物ではありますが、単に観賞して消耗するのではなく、「育てる」という手間のかかるプロセスが趣味の原点のように思えます。益々加速する日常の生活に、潤いをもたらすオアシスの役割を与えてくれる園芸趣味といえるでしょう。
 「万年青」と書いて「おもと」と読みます。(公社)日本おもと協会では団体名のとおり「おもと」と表記していますが、園芸界では植物名をカタカナで表記していますので「オモト」と書くケースも多くなっています。重厚さを付ける為?かも知れませんが「萬年青」と表記する場合もあります。
 日本では古来から株の形から大本が変化しておもとになったとか、石垣島の於茂登山にたくさん自生しているところからおもとになったとか、宇佐神宮の背後にある「御許山」に自生していたからなど、諸説があります。 十三世紀後半の文献に「於毛止久佐(おもとぐさ)」の名称が見られ、少し後に「老母草(おもと)」という名が現れています。濃い緑の葉に包まれて赤い実がなることから「母人」が子を慈しむ姿に見立てて「母」の古い呼び名、「オモ」から生じたという説もあります。韓国語のオモニと同系です。オモトの花言葉は「母性の愛」ですから私はこの説が有力かなと思います。
 「万年青」という漢字は、中華人民共和国でRohdea Japonicaを万年青(マンネンチン)と呼んでいますから、日本で「おもと」をそれに当てたと思われます。読めないのが普通 ですが、知ってると少し威張れるかもしれません。

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